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2019年 6月 29日 12:00

いよいよ( ノД`)

パチスロ人気機種の一斉撤去を迎える!

全国のパチンコ店から、「ハーデス」や「バジ絆」、「まどマギ初代」や「モンハン月下」が、今年中にすべて撤去される。パチスロをやらない人からすれば、一体なんの事を言っているのか分からない事ではあるが、これらは現状、パチンコ店の稼働や売上に大きく貢献している主要なパチスロ遊技機であり、多くのファンに支持されている遊技機でもある。

なぜ撤去されるのか。

2018年2月に施行された遊技機規則等の改正により、現在パチンコ店に設置されている旧規則機は2021年1月までにすべて撤去されるのだが、遊技機ごとに撤去のタイミングは異なり、都道府県の各公安委員会が定めた設置期限(最大6年間)を過ぎたものから順次撤去されていくことになる。そしてこれらのパチスロ機は、今年の年末にその設置期限の満了を迎える事になるのだ。

年末の一大撤去。そのパチンコ店の経営に与えるそのインパクトはかなり大きい。

アナザーゴッドハーデス~奪われたZEUSver.(約42000台撤去)

バジリスク~甲賀忍法帖~絆(約57000台撤去)

SLOT魔法少女まどか☆マギカ(約25000台撤去)

パチスロモンスターハンター月下雷鳴(約13000台撤去)

ハッピージャグラーVⅡ(約24000台撤去)

これらのほかにも設置期間が切れる遊技機があり、その台数は全国で20万台以上となる。新台で1台40万円はくだらないと言われる遊技機。単純計算でも業界全体で今後6カ月、800億円の投資が必要となる計算だ。

撤去はパチンコホールの生き残りをかけた「第一のふるい」

ホール関係者の頭は痛い。

新規則機に入れ替えるための予算確保は勿論のこと、そもそも入れ替えるべき新規則機(6号機)の供給スピードがままならない。市場投入された6号機の結果も芳しくない。

「このままだと本当に全台入れ替えられないかも知れない。島閉鎖(遊技スペースの縮小)やベニヤ(遊技機設置スペースにベニヤ板をはる事)もあり得るかも知れない」

都内某ホールの営業部長の言葉だ。では新台ではなく割安の中古機の導入ならどうか。

「稼働や売上が見込める中古機は、軒並み価格が高騰していて、機種によっては新台価格を上回るものもある。中古機はあくまで補填でしかない」

とりあえず遊技機の数を確保するためだけの導入なら出来なくはないが、導入したところでお客さんが遊んでくれなければ意味はない。

そもそも新規則機は、ギャンブル等依存症対策として大きく射幸性を抑制された遊技機であり、遊技客の立場でいえば、比較的低投資で長く遊べる遊技機である。これは裏を返せば、店側の売上や利益は、旧規則機に比べ大幅にダウンすることを意味している。大きな投資で遊技機を導入したとしても、相応の売上や利益が見込めない。

今年の年末の主要なパチスロ機を含む20万台撤去は、まさにパチンコホールの生き残りをかけた「第一のふるい」であることは間違いない。

変われない店は店ごと「撤去」の憂き目にあう

パチンコホールの存亡がかかった「第二のふるい」はその1年後にやってくる。

2021年1月末。ここまでに全旧規則機の撤去が完了せねばならず、現時点でその数はパチンコ・パチスロを合わせ200万台以上とも言われている。それも2020年末に多くの遊技機が設置期限の満了を迎えることから、そのタイミングで100万台近くが同時に撤去される事になる。

いまから遡る事10数年前にもパチスロ4号機一斉撤去という事があったが、あの時とは業界全体としても個社個店にしても経営的な体力が比べ物にならない。この10年、パチンコファン人口は右肩下がりで減り続け、業界全体の売り上げ規模も大きく減少している。その一方でホールの大型化や設備の最新化が進み、遊技機の価格は高騰し続けている。

仮に自社ホールの遊技機を全台新規則機に入れ替えたとして、果たしてそのモトは取れるのか。ホール経営者たちの眉間の皺は深い。

消費税増税、禁煙化、新規則機全面移行……業界関係者の苦悩

消費税の増税(19年10月)に、ホール禁煙化(20年4月)に加えての新規則機への全面移行。来たる参議院選に向け、パチンコ業界の「族議員」を輩出しようと、業界関係者らが気勢を上げるのには、抜き差しならない業界の事情がある。

「でもね、ここが踏ん張りどころと思ってやるしかない。カジノの問題もあって、世間的な風当たりは厳しいけど、今が一番つらい時だからこそ、ここを乗り越えればパチンコ業界はまた良くなると信じてやるしかない」(前出の営業部長)

産業規模で考えれば、全国にいまだ1万店舗を数えるパチンコは、ファン人口に対して供給過多の傾向にあり、先2年間の「ふるい」によって需給バランスが改善されれば産業としては上向くかはどうであれ、下げ止まりにはなる。

どれだけのパチンコ店が、2021年を迎える事が出来るのか。

時代のふるいにかけられ、経営姿勢として旧態依然としたパチンコ店は淘汰される。撤去されるのは遊技機だけではない。変わる事が出来ないパチンコ店は、店ごと「撤去」されてしまう。